2013年02月03日

Battle of the Bulge (iPad)

iOSにはなかなか本格的なウォーゲームがありませんでしたが、ようやくまとものなものが現われました。
昨年暮れころにリリースされたShenandoah StudioのBattle of the Bulge、定番のバルジものです。これはiPad専用アプリですが、iPad miniでやるといつでも電車でもバルジが楽しめます。
下記はiTunes Linkです。
https://itunes.apple.com/jp/app/battle-of-the-bulge/id521833787?mt=8

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Battle of the BulgeはSPIやVGで有名なJohn Butterfieldがデザインしたもので、システム的にはBreakout Normandyのエリア移動方式を採用しているようです(Breakout Normandyは未見のためはっきりと比較できず)。きちんとしたウォーゲームデザイナーがiPadのゲームを作成したというのはなかなか画期的なことだと思います。下記はShenandoah StudioのJohn Butterfieldのデザイナーズノートです。
http://www.shenandoah-studio.com/authors_taxonomy/john-butterfield/

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一日ターンのマルチインパルスで、交互に一エリアずつ移動戦闘して、両方パスしたら終わりというのは予備移動をうまく再現することもありますが、ややテクニカルな側面はあります。ちょっと将棋的な読みが必要な局面もあり、なかなか考えさせられる時もあります。一手が大きいですからね。変形マルチインパルスのため、一日ターンですべてのユニットが動かせないことがあるのはかえってリアルかもしれません。コマンドコントロールやバルジでの渋滞を再現できます。特にはじめのターンでは優先度の吟味が必要です。
John Butterfield自体がAmbushとかVoyage of Pandoraなどややトリッキーなシステムのゲームを作ってた人なのでこうしたシステムは得意なところかもしれません。

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ユニットは師団単位で、116Pzとか1SSなどは攻撃でエリート特典があります。米軍では空挺やBigRed1がエリート扱いで防御にプラスできます。またスコルツェニーなどのコマンドルールが加味され、初期のターンのどこかで一ユニットを行動不能にできます。また一応150Pzがユニットで出てくるところなんかはマニアックと言えます。
砲撃支援や航空支援はかなり抽象化されて自動的に計算されます。また補給切れも重要な側面として判定され、ターン(一日)のはじまりに補給線が引けないと移動できなくなり、次の日も引けないと戦闘(防御も含めて)ができなくなります。ドイツにはさらに後半になると補給切れユニットが出てきます。下記は補給判定画面です。

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ドイツ側としては19日中にミューズをわたって向こう側に完全支配のエリアがあって、それが補給がつながればVPによらず自動勝利なのでまずこれが目標です。基本的には1SSを突っ込ませてミューズを渡らせ、その両側を116PzやLehrで攻撃してエリアをコンテストにして米軍をロックしてしまうというのが基本線だと思います。ミューズを渡河させても補給路を空エリアで残すと次のインパルスで入ってこられるので、そこは補給路に部隊を置いていくか、両側エリアを攻撃して釘づけにしておきます。両軍が混在するコンテストエリアだと敵の完全支配エリアには直接移動できないのでこれを利用します。150pzでミューズを渡らせて強力な1SSで側面を攻撃するというゲーム的なちょっとずるい手も使えます。この線に沿えばバストーニュはあまり重要ではなくなります。取っても取らなくても良いですが米軍を誘引しておくには役に立ちます。
テクニカルなので、ドイツをやっていてもう手づまりでだめか、と思っても相手の手の一瞬のすきをついて電撃的に勝ってしまうこともできますし、ずるずると25日くらいまでドイツ軍で長引かせてにらみ合いを続けても、せこくVPを稼ぐことでドイツが勝つこともできます。ゲーム的な意味でも完成度は高いですね。おそらくプレイテストが何回もできるというのが完成度が高くなるゆえんかとも思います。

こちらはドイツ軍での勝利のパターンの例で、下段はレビュー機能でのプレイバックです。

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連合軍としてはドイツが突っ込んできたら、先行部隊は行かせてその後方から両側包囲して補給線を経って動けなくしてしまうというのが基本線だと思います。ただし場合にょってはうじうじと攻撃してくるので、この場合は普通に戦線構築していくパターンですね。バストーニュが重要なのはむしろ米軍なので守った方が良いですが、ドイツ軍を突破させない方がより重要です。

こちらは連合軍での勝利のパターンの例です。

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ただけっこうサイの目で左右されるところも大きいので、わりと流動的な展開になるのもゲームとしては面白いところです。一方でドイツ軍はヒストリカルより前進させやすいので、その点もバルジゲームとしては面白い点だと思います。AIもルントシュテットとディートリッヒ、パットンとモンティが選べてそれぞれキャラクターが少し違う点も面白いところです。これも適度に変えながらやるとリプレイアビリティが高く、ワンパターンを避けて飽きずに続けられます。いろいろな勝ち方ができるのも良いところで、多少形勢が悪くなっても最後まで続けてやり通せます。
そのほかもうるさくいうとマントイフェルの5PzとSS中心の6Pzが混ざりやすいのはやや現実離れはしていますが、全体的にゲーム性とヒストリカルウォーゲームの良さがうまくブレンドされていると思います。これだとユーロゲーマーも手を出しやすいという気もしますね。これはiPadのようなマスプロダクション向けのウォーゲームのまた新しい形かもしれません。

iOSアプリとしてはRetina ディスプレイに特化しているのは良いんですが、反面でiPad miniだとやや文字が読みにくいところはあります。ただしズームなしでも全域がみられるのは良いところです。
マップをスクロールするのは苦痛なのでやはり一画面でマップはすべて表示してほしいです。

プレイアブルでサドンデス形式なのでキャンペーンでも早いと10分もあると勝負がつくのが良いところです。長引くと時間もかかりますが、通勤中に何回もバルジができます。ゲームとしての完成度が高いですね。
このシリーズは次にエルアラメインが予定されているようです。ただシステムを考えると北アフリカならクルセーダーの方が面白いと思いますが、「エルアラメイン」というよく知られたタイトルがこうしたiPadゲームでは重要なのでしょうね。
posted by Y.Sasaki at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | Battle of the Bulge | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月26日

War Plan Pacific

今年はこれが最初で最後の更新になってしまいましたが、特にこのブログをやめようと思っているわけではありません。単にここに書きたくなるような面白いコンピューターゲームが今年はほとんどなかったからです。
まずゲーム自体があまり出なかったということもありますが、ここに書くほどの興味が持てるものはあまりなかったと思います。
今年度買ったものの大きいのはHPSのWar over Vietnamの続編の中東の航空作戦を扱ったWar over the MidEastがあるんですが、これはベトナムのゲームに比べるといまひとつではあります。特に中東は地上作戦と切り離しにくいということはあると思います。
その他にも行ってみたいシナリオ、たとえばヨムキプールでの航空作戦などは数が多すぎて、このシステムではやる気が喪失してしまうということがあります。
コンピューターだから複雑なものをというよりは、コンピューターだから複雑なものを簡単に、というものがほしいという気もしますね。
実際ボードゲームでも十分な複雑さを持っていると思いますし、抽象化という点ではかなりデザインも完成していると思います。
そういう意味では昨年のDefending the Reichはよく出来ていました。

今年度の〆で登場したこのWar Plan Pacificはまさにやっと出てきた期待の作品と言えます。

http://www.shrapnelgames.com/KE_Studios/WPP/WPP_page.html

これは以前少し書いたプロフェッショナルシミュレーションゲームの分野で少し書いたArmored Task Forceなどを出していたProSimをディストリビューとしている会社の製品ですが、内容はかなりシンプルです。
これまでもエリア方式の太平洋ものというのを待望していたわけですから、やっと出たという感じです。

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マップはPoint to Poinで西海岸からシンガポールまでカバーしています。旭日旗がインポーズされているところは日本軍の占領下です。
一ターンは一ヶ月ですが戦術ラウンドがあり、戦術ボードで海空戦を解決します。陸戦は上陸部隊の船団と戦術ラウンドで簡略化されています。陸軍の駒と陸戦はなく、基本的に制海権を取った方が陸戦にも勝つという考え方です。そういう点ではVictory in the Pacificより抽象化されています。
太平洋のフルキャンペーンを3時間で行えるといううたい文句の通り、かなりシンプルですが軽巡以上は単艦単位でユニット化されています。

このゲームのユニークな点は勝利条件の設定が多岐にわたることです。
太平洋戦争をきちんと知っているものならばだれしも日本が軍事的な勝利を得ることはできなかったということを知っています。
そのため、ゲームをどう方向づけるかという点で勝利条件の設定には工夫が必要です。ゲームではいくつかの勝利条件が設定されていますが、はじめの数ターンの日本軍の石油の備蓄量に対するサドンデスの勝利条件はなかなか面白いと思います。また終盤では米軍が日本をB29の航続距離に収めた時点で実質的に終わるようです。ここはいまデモ版しかないのでわかりませんが、マリアナまでということになります。ここも納得のいくところだと思います。
また米豪連絡線を遮断することが石油確保の次の目標になるため、現実に沿った展開にはなると思います。

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ゲームはTFをベースに行い、TFの編成を行った後にTFをどのエリア(ポイント)に派遣するかということだけです。
そのときに目的エリアが敵のもので、TFに輸送艦が含まれないときはRaidとなり、輸送艦が含まれた時はInvasionとなります。
あるエリアを確保することで次のエリアへのルートが開けます。

またTFの目的地が自軍ベースのときはpatrolとなりますが、キーの一つはPatrolはもちろん敵のRaidに対するものでもありますが、同時にPatrolをすることでそのベースのレベルと航空機数があがります。
つまり補給の要素がこの辺で抽象的に組み込まれているわけです。輸送艦を自軍エリアに使うと補給で、敵エリアに使うと侵攻作戦となるわけです。

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両軍が対峙すると戦術ラウンドとなりますが、ここはちょっとしたアニメーションがありそれなりに派手です。
細かいフレーバーでは戦術ラウンドでの酸素魚雷などもあります。
いまはデモ版をやっていますが、正式版も注文しましたのでまた届いてからやってみたいと思います。
posted by Y.Sasaki at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | KE : War Plan Pacific | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月08日

現代戦のClose Combat

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あのClose Combatが現代戦となって帰って来ました。それがこの
Close Combat Modern Tactics (CCMT)です。
ただしこのCCMTはほかのClose Combatシリーズとはいささか趣を異にしています。

CCMTは米海兵隊のためにトレーニング教材として2004年に作られたClose Combat Marinesをベースにしています。
Close Combat Marinesは開発元のAtomicが米海兵隊のために製作したもので、それをベースにしたClose Combat Modern Tacticsは現代戦がテーマですが、もともと軍のためのトレーニング教材なのでシナリオも仮想戦となり、敵軍はOPFORと呼ばれます。現実の紛争がシナリオではありません。
そのため、他のDecesiveActionやTacOpsと同様のカテゴリーとした方がよいでしょう。

Colose Combat Marinesをベースにしたものでは、はじめはThe Road to Baghdadというイラク進攻をテーマとした市販版が作られたようですが、かなりバクがあったり完成度が低かったようです。そこで今回しきりなおしでMatrixから11/15に発売されました。
わたしはダウンロード販売で$29で買いました。960MBあるのでかなり時間がかかります。
Colose Combat Marinesをベースにしたものでは、このほかにはRAF Regimentという飛行場防衛がテーマのものや、Leather NecksというCCMTの続編もあるようです。(Leather Necksは数ある海兵隊のあだなのひとつで、映画になったjarheadsもそのひとつです)

さっそくCCMTをちょっとやってみました。
ただ結果から言うと単にClose Combatが現代戦になったというと魅力的に思えますが、単純にそうではなさそうです

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コマンドはほとんど同じですが、固定翼やヘリの支援、砲兵支援の要請ボタンがあります。
大きな違いはまずマップがより広くなったことで、現代戦の射程の長さを反映しています。そのため戦況をみるために全体マップが一新されてNATOシンボルのユニットが描かれてこの画面でも操作ができます。マップはかなりきれいです。
この辺まではまあいいんですが、実際にやって見るとかなり「ゲーム」としてはいまいちで「シミュレーション」としても首をひねるところがでてきます。

まず現代戦では見敵・即・必殺なのでこの手のリアルタイム管理とはあまりそぐわないようにも思います。ちょっと目を離したらすぐに撃破されます。また射撃結果や支援攻撃の火力が過大で、ほかのCCだと1分隊の成員はずいぶんゆっくり損耗しますが、CCMTではほんとに一撃でみな全滅します。
いくら現代戦の火力が二次大戦より強力と言ってもかなり興ざめがします。どちらかいうとTacOps程度のスケールの方があっているように思いますね。

CCのいいところは正面から射撃戦をするよりも機動であいてのモラルを失わせるというところですが、CCMTではその余地はあまりありません。
またゲームとしてのできもイマイチで海外のフォーラムでも指摘されていますが、車両がまともに道路移動ができず、AIもほとんどうまく攻撃ができません。
またVPの表示がないのでどこを確保すべきかがわかりません。オーダー画面も説明不足でかなりとってつけた感があります。
まあこれはもとが軍隊向けの机上演習ソフトなので、ゲームとしてみた場合にはあんまりVPをこまこまと計算して勝ち負けをうんぬんするものではないということのようです。
またキャンペーンはありませんが、エディターはあります。

まあもうちょっとやってみますが、戦術級のゲームとしては第二次大戦テーマでボードゲームのLock'n Loadがコンピュータ化されるようなのでそちらを期待した方が良さそうではあります。
posted by Y.Sasaki at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | Close Combat - Modern Tactics | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月22日

Carriers At War ふたたび

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これはAppleII時代に車を売っても買え、という高い評価を得ていたSSG(Strategic Studies Group)の代表作であるCarriers at warのリメイクです。コンピューターウオーゲームの初期の名作のひとつです。
AppleII時代のシミュレーションゲームはSSIの一連の作品からはじまったんですが、SSGはこの作品で一気にトップに並びました。わたしもやはり持っていました。

その初代Carriers at warのなにが良かったかというとまずあげられるのはプレイアビリティーの高さです。
シミュレーションゲームというのは複雑で当然で、その複雑さを楽しむものといういささか誤解がコンピューターゲームの世界にはいまも昔もありましたが、それを払拭したのがCarriers at warといえます。
当時はマウスもマルチウインドうもありませんでしたが、良く設計されたUIのおかげでカーソルキーとエスケープ、エンターだけで空母戦という複雑なマネージメントをさくさくと進めることができました。
これはSSGの以降のBattle Frontシリーズの陸戦ゲームにもひきつがれます。

つぎにそのプレイアビリティをコマンドコントロールの問題と高次元で両立させた完成度の高さです。
プレーヤーサイドはいくつかの指揮権に大別されますが、その指揮権の単位でAIを担当させることができるため、プレイアビリティが上がると共に、自分の貴下ユニット以外は動かせないという実際の指揮官とおなじジレンマを味わうことができます。
こうした完成度の高さから以前にシミュレーター誌の連載を持っていた時にも取り上げたことがあります。

その名作をSSGが当時とほぼ同じチームでリメイクしたのが本作です。
この間にパソコンのUIもウインドウやマウスがベースになり、処理能力は劇的に向上しました。
そしてやはりCAWもGUIベースのものに生まれ変わっています。
いま旧作を手元に持っていないので直接比較はできませんが、そのほかに大きく変わったのはコンバットアニメーションが加わったことです。これは対鑑攻撃の時に戦術マップのように艦船と航空機が配置され、アニメーションで動くというものです。

ただしプレーヤーはまったく介在できません。見ているだけです。またこれは単にフレーバーであって、実際はどの船に何発命中、何機撃墜破という結果がCRTかなにかではじめに算出されて、それを元にアニメーションを組み立てているということのようです。ですからSSGも軟派になったものだとがっかりする必要はありません。
とはいえ結果が戦場の霧でなくなってしまう恐れがあるので、そこは結果を正確に見せないオプションがあります。またアニメーション自体もオフにできます。
オリジナルとのもうひとつの違いはマップ上をかなり細かくスコール・雲が動くことです。これは一種の地形効果のようなおもしろさを海戦ゲームに与えています。

システム解説

ゲームはシナリオとサイドの選択から始まります。
シナリオは(日本側呼称で)ハワイ沖、第二次ウェーク攻略作戦、サンゴ海、第二次ソロモン、南太平洋、マリアナの6つです。先の二つはご存知のように実際は交戦していないので仮想戦のようなものですが、特にウェークのシナリオは単純だけれど支援と空母の両面を考え、ユニットも少ないので入門に好適です。

それぞれに「もしエンタープライズが参戦していたら」のようなヴァリアントが少しずつ用意されています。
これは珊瑚海のシナリオ説明画面です。

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また前作同様に指揮権を選択して、他はAIに任せることができます。登場艦船、部隊は詳細でたとえばミッドウエイならば空母機動部隊、攻略部隊、支援部隊に分かれるのはもちろん、給油・補給艦まで含まれます。

下記は珊瑚海シナリオの初期状態です。右上のツラギ上陸部隊もカバーされていてかなり立体的に構成されています。
Carrier Strike Groupが5航戦の翔鶴と瑞鶴で、Close Supportは祥鳳です。敵空母は右下のあたりのどこかにいるはずです。
モレスビー攻略部隊はまだラバウルに停泊しています。

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ゲーム上の最小単位は5分でこれが一ターンになりますが、実際は連続的にリアルタイムで進行してイベントのある時かブレーク要求したときに止まります。たとえば1時間後に停止とか最小の5分だけ実行と言うことも出来ます。
ちなみにRun 5というコマンドは一ターンである5分実行するという意味ですが、これはあとでSSGのユーザーグループだったか機関誌のタイトルになっていたような覚えがあります。

ユニットはマウスのポイント&クリックで選択してプルダウンメニューからコマンド選択、または直接マップをクリックして行き先指定をします。
索敵は8方向の矢印をクリックでオン・オフにしてどの範囲を索敵するかの指示を行います。すると自動的にその面積に応じた機数が索敵に使われます。索敵パターンは自動で行われ、索敵機が折り返してくるときに次の機体が自動的に発艦します。

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CAPは常に何機あげておくかをスライダーで指示しておきます。実際はその半分が滞空します(つまりローテーションする)。

敵を見つけると(もちろん不正確な)報告が地図上になされます。下図の右上が索敵結果のレポートです。右下のボックスは同時にこちらが索敵されたことを示しています。

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それを攻撃するには目標を指示してAutoボタンですべてやってくれます。

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何機をデッキにあげて、爆装して、という細かい指示もマニュアルでできますが、それを一通りAutoで一発でやってくれますのでとてもプレイアブルです。ただし複数目標があるときはマニュアルの方がいいかもしれません。

戦闘にはいるとアニメーションが開始されます。

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このアニメーションはよくできていて、けっこう手に汗握ります。そういう意味ではフレーバーとしての役割は十分に果たしていると思います。
簡単な水上戦闘ルールもあります。よくあるタイプの距離バンドタイプの戦術ルールがついています。ただほとんど起こりません。

簡単にできるのはWakeのシナリオです。これだと1ゲーム20分程度で可能ですのでゲームはかなりプレイアブルです。
ただこれくらいでないと、マリアナのような巨大なシナリオはこなさないかもしれません。

勝利条件はミッションの達成によって左右されます。
これはなかなか良い点ですが、これはまたインプレッションで書きます。

*ちなみに上記は出荷状態のものでパッチでは少し異なるものがあります
posted by Y.Sasaki at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | SSG : Carriers At War | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月29日

Duel in the Dark

ヨーロッパ航空戦の夜間戦闘テーマを扱ったゲームとしてはボードゲームでもあります。
それはPilot gamesというパブリッシャーの"Duel in the Dark"です。

こちらにホームページがあります。

http://www.duelinthedark.com/news.html?&L=1

厚いボードに立体的なコマを立てるというところからお手軽ゲームかとも思いますが、内容的にはかなり要素をカバーしているようです。
RAFはメインフォースとおとりを動かし、ルートはプロットするというシステム的にはDefending the Reichに似ています。
またDefending the Reichにはない雲の要素もあるようです。実際は進入ルートの推測には地域ごとの天候も大きいので本来はDefending the Reichにも地域ごとの天候はほしかったところです。
posted by Y.Sasaki at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月12日

Carriers at War発注

夏には少し遅れましたが、今度は少し海戦テーマを取り上げてみようと思います。
そこでSSGの空母戦ゲームであるCarriers at Warの復活版と、現代海戦テーマのDangerous Watersを発注しました。

Carriers at War
http://www.matrixgames.com/games/game.asp?gid=337

Dangerous Waters
http://www.sonalystscombatsims.com/dangerous_waters/index.html

Carriers at WarはAppleII時代の名作の復活版で、Dangerous WatersはOHPとKiloクラスの戦いのようなやや細かいレベルのゲームですが、こうしたテーマではベテランのSonalistsがデザインしたもので3Dで描かれます。
posted by Y.Sasaki at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | * 海戦テーマについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月16日

He219と夜戦のエース

第二次大戦では多種多様な戦闘機が設計されましたし、多種の夜間戦闘機が洋の東西で使われていますが、意外なことに夜間専用にはじめから設計された戦闘機というのはHe219"ウーフー"とTa154とブラックウイドウだけです。実際のところTa154は遅すぎたし、ブラックウイドウは活躍の場がほとんど無かったので、専用の夜間戦闘機として設計されて実戦で活躍したものはウーフーだけということになります。

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夜戦はJu88やDo217など爆撃機改造の機体が主体でしたが、これらの機体はもともと高機動できるように設計されていないので敵の爆撃機が急な回避をした場合などに追従がむずかしいのです。そのためやはり戦闘機が必要になってきます。

たとえばウーフーの特異な外観特徴として操縦席が非常に前にあるというのは夜間戦闘機としての特徴と言えます。
双発戦闘機の場合にはBf110のように機首に機銃を集中配置するのは合理的なように思えますが、夜間の場合に発射炎で目がくらんでパイロットの夜間視力がなくなってしまいます。夜間戦闘機がレーダー手が別なのはレーダー操作に専念するためもありますが、レーダースコープのような明るいものをみると暗闇での視認能力が下がるのでパイロットはスコープを見れないということがあります。それだけ夜間視力は重要な訳です。
ウーフーではそのために機銃は胴体のポンツーンに収納して後部におき操縦席を機銃より前に配しました。しかしこのためにパイロットが脱出するときにプロペラに当たる可能性が高くなります。それを避けるためにウーフーでは世界初となった射出座席を装備した訳です。

また曲面が多いキャノピーも夜間の反射を考慮していました。ヴィルデザウに使われたBf109のようにキャノピーに平面が多いと夜間ではサーチライトの光を反射して見にくいそうです。

He219が配備されているのは最重要なルール地方前面を守るVernoのNJG1です。これは有名な夜戦のエースパイロットである、ヴェルナー・シュトライプ率いる部隊で、まるでJV44の夜戦版のような強力な部隊です。他にもシュナウファーやレントなど100機クラスの夜戦エースが所属していました。
NJG1はゲームでも一番活躍するでしょう。この部隊は敵に夜戦が含まれていても返り討ちにできるので、ゲームでもメインテナンスフェーズではこの部隊の稼働率を上げることがキーです。
DTRではエースの撃墜と昇進に関するルールがあります。

ウーフーの性能は優れたもので、DTRのゲーム中でも英の夜戦やモスキートを撃墜できるのはウーフーだけです。
とはいえウーフーも上層部の無理解やハインケルに対する政治的な冷淡な対応により十分な機体が量産されるというにはいたりませんでした。これはDTRにもR&Dのルールとして反映されています。またオプションルールとして早期配備が選択できます。ゲームバランスを取るにはいいですが、地上レーダーがまず捕らえられなければどうしようもないため、おそらく戦局をそう左右するには至らないと思います。

ウーフーの有用性をシュトライプが上奏したのにミルヒが「シュトライプならどんな機体でもそのくらいの戦果はあげられるだろう」と冷たく言い放った言葉は有名で、ハインケルに対する態度とともに端的に夜戦に対する無理解が感じられます。

昼戦隊は自軍の攻勢作戦に随伴して使えるのに対し、夜戦隊は防御にしか使えないので軽んじられがちです。特に戦術空軍的なルフトバッフェではそうした傾向があったかもしれません。
しかし自軍が劣勢になった時ににわかに育てることが出来ないものでもあります。このことから夜間戦闘部隊は国の戦略眼というものが問われる兵力であると言えるでしょう。
posted by Y.Sasaki at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

リヒテンシュタインレーダーと「鹿の角」

ドイツの夜間戦闘機というとシンボルとして鹿の角のような機上レーダーのアンテナを思い浮かぶでしょう。これは「リヒテンシュタイン」というレーダーで、オーディオをやっている人ならよくご存知のドイツのテレフンケン社が開発したものです。(後期には他にベルリンやネプツーンというタイプも出てきます)
Defending The Reichの中ではR&Dで能力を向上させることが出来、迎撃時の触接チェックで有利に出来ます。

ju88.gif

アンテナはいわゆる八木アンテナで志向性があります。4本あるということは4つのフィールド(輻射域)に照射できるということです。これはAzimus(鉛直)方向に二つとHorizontal(水平)方向に二つのフィールドです。飛行機の場合は3次元的な位置を割り出さねばなりませんので、たとえば水平方向でもどちらからどちらへ移動しているという情報が必要なわけです。
2ndと呼ばれた後方監視レーダーは後ろにいるかどうかだけ分かればいいので一本のアンテナです。

映画に出てくるレーダースコープはPPIと呼ばれる2次元で地図のように位置が分かる方式ですが、当時のレーダーの主流はAスコープと呼ばれるCRTのオシロスコープのような波でエコーを表す方式です。ただし英軍は進んでいたので爆撃用のH2SにはすでにPPIを使用していました。
「ブラッカムの爆撃機」の中の宮崎さんが書いたレーダーの表示はAスコープという点では正しいのですが、実際のリヒテンシュタインのスコープはこのスコープが鉛直方向と水平方向の二つあって、それぞれ上下にエコーが描かれます。その上下のエコーのゆれで敵機の機動がわかったようです。(おそらく宮崎さんは艦載のレーダーを念頭にして書いたと思います)
さらに初期型のFug202は分解能が高いので距離専用のCRTがありました。

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上記はFug220(SN-2)レーダーのスコープの模式図ですが、左が水平方向の表示CRT、右が垂直方向です。グリッド(点)は2km単位です。Aスコープなので一番左の山が自機、それ以降の山が反射波、つまり敵機か何かです。左右に二つずつ波形があるということは4つのアンテナのカバレッジを示しています。
右の4kmのところにエコーがあるので垂直方向に4kmのところになにかいることを示しています。7km以降は地面の影響(いまでいうグランド・クラッター)です。
このエコーの大きさで敵機のサイズ、また上下のエコーのゆれ具合で移動方向がわかります。

リヒテンシュタインレーダーには大きく分けると二つのタイプがあります。前期のFug202(BC)と後期のFug220(SN-2)です。
(またBCの改良型のFug212(C-1)とさきにふれた2ndと言われる後方警戒レーダーもあります)

それぞれスペックは下記の通りです。

type ------ 4発重爆 --- 中型双発 --- 戦闘機 --- 最小(分解能)

Fug202 ----- 4.3Km ----- 3.0Km ----- 1.7Km ----- 150m

Fug220 ----- 8.0Km ----- 5.8Km ----- 3.2Km ----- 1000m


202は距離専用のCRTがあり一つのグリッド単位は100mですがが戦記を読むと当時のレーダー手はもっと細かく読んでいたようです。
220は距離専用のCRTはなくグリッドは2km(改良型は200m)です。

これをみると分かりますが、前期型のFug202の方が最大探知距離は短いのですが、より細かい分解能があります。後期型のFug220はより遠くまで探知できますが、最短距離とこまかい分解能は劣っています。このためFug220の初期型ではFug202を併設していました。
これはFug220のほうが波長の長いレーダー波を使ったからです。
なぜ途中で変更したかというと、イギリス軍のウインドウ(チャフ)の対策のためです。
イギリス軍は鹵獲したドイツ軍のレーダーを解析した結果、Fug202の波長に合わせた金属片を使ってチャフにしたわけです。
それで一時ルフトバッフェの防空はマヒしますが、Fug220で波長を変えたおかげで再び機上レーダーを運用することができました。

波長が長いということはアンテナが大きいということですので、おもしろいことに後からできたFug220(SN-2)の方が大きい訳です。実はこちらが「鹿の角」と呼ばれたほうです。
たいてい後にできたほうが小さいと思われがちなのでここは混同されがちです。たとえば「ブラッカムの爆撃機」の中で宮崎さんが描かれているのは大きさからしてFug220(SN-2)と思われますが、時期的にはウインドウの前なので本来は小さなFug212(C-1)が妥当であると思われます。ここは大きい方が迫力があるというマンガ的な演出とも言えはします。

ちなみにFug202での速度低下はMe110で40kmも下がったそうですが、大型のJu88では10-20Km程度に収まったようです。大型のFug220ではMe110では50Km以上の低下があったということなので、後期型の夜間戦闘機がJu88ベースにシフトしていったのはうなづけるところです。
posted by Y.Sasaki at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月15日

「シュレーゲ・ムジーク」と「斜め銃」

日本では月光が爆撃機の要撃に機体背面に斜めに背負った機関銃を使用して活躍しましたが、ドイツでも夜戦が同様な斜めに装備した銃を1943年より投入して効果をあげました。ドイツではシュレーゲ・ムジーク(Schrage Musik - aはウムラウト)と呼称されました。Defending the Reichにもシュレーゲ・ムジークを使用した攻撃では爆撃機からの防御放火は受けないという特別ルールがあります。(ただしプレーヤーに選択権はないのでフレーバー的なルールではあります)

「シュレーゲ・ムジーク」はドイツ語で「斜めの音楽」という意味ですが、Schrage(斜め)には奇妙なとか調子はずれとかいう意味があり、クラシックの国であるドイツがアメリカの音楽であるジャズを揶揄した言葉のようです。
「ブラッカムの爆撃機」ではドイツの夜戦パイロットがブラッカムのウェリントンを撃墜しようと近づくときに「ジャズを一曲聞かせてやろう」とつぶやきます。

シュレーゲムジークは機体に対して60-70度の角度で取り付けられ、照準はキャノピーの上に取り付けたRevi 16Nという電映照準器で上を向いて照準します。
ドイツ側ではシュレーゲムジークの存在を隠すためにシュレーゲムジークには通常の曳光弾を交ぜませんでした(その代わりにあまり光らない特殊な方式を使用したようです)。そのため長く秘密が守られていましたが、そのうちに機体の被弾痕の状況などから存在が知られるようになったようです。
機上レーダーは英軍によりすぐに対抗措置がとられてしまいましたが、シュレーゲムジークには最後まで有効な対抗策はなく、下方監視窓を増設したくらいのようです。


さて、前述したように日本にもこのような斜め銃がありました。ラバウルで小園少佐が考えて月光に主に取り付けられたものです。ただしドイツのシュレーゲムジークと日本の斜め銃の大きな違いは日本の斜め銃が30度で、シュレーゲムジークが60-70度という倍くらいの角度差があることです。
あまり従来はこの差についてまで議論が及びませんが、ここではその点に考察を加え、さらには当時おかれていた日独の違いについても考えて見たいと思います。

よく小園氏のアイデアがドイツにいって、という話もありますが、実のところ敵機の下から狙うために斜めに銃を設置するというアイディアは第一次大戦のころから存在していました(また日本においても日華事変においてそうした試験がされたこともあったようです)。
というのは当時の主力であるSE-5aのような機体はプロペラ同調の関係で翼の上部に機銃をすえつけていたため、そうした細工をしやすかったわけです。当時は射撃照準装置の関係でさほどの命中率が得られるわけではなかったようですが、旋回機銃は固定機銃に比べて精度が1/7程度になるという話もあるので旋回するよりは固定で角度をつけたほうが良いわけです。
WWIIのドイツでだれが発明(再発見)したかという定説はありませんが、60度という角度はTarnewitzのルフトバッフェ・テストセンターで42年にテストして定まったということですので、少なくとも日本伝来ということはないでしょう。

シュレーゲムジークのことを語る前にまず当時のドイツ夜戦の攻撃方法についてはじめねばなりません。
当時の夜戦は敵機の後方につくとまず敵機の後下方に占位しました。またレーダー誘導を受ける際にあらかじめ下方に誘導してもらうということもあったようです。
このようにいったん下がってここから上昇しながら射撃します。このドイツ夜戦の一般的な攻撃方法は、英軍機が後下方の視界や防御火力が弱いというほかに、射撃する時に下から翼やエンジンをねらわないと胴体に当てて爆弾が誘爆するのを防ぐという目的があったようです。誘爆を避けるのはドイツ夜戦が夜間のため接近して攻撃するためです。

この夜戦部隊の攻撃法は斜め銃になってもかわらなかったようです。下記にシュレーゲムジークの攻撃シークエンスがあります。

musik1.gif

戦争後期になるとレーダーが大型のSN2レーダーに移行したという影響もあり、Me110よりもJu88が次第にメインになっていくわけですが、爆撃機転用の夜戦の問題は機動力がないことです。たとえば英軍は夜戦を見つけたらまずひねってダイブして回避するというドクトリンを持っていました。防御放火は二の次です(そのためB17などとは違います)。そのため爆撃機が回避しようとしたときに追従しなければなりません、また後方からもぐりこんで上昇して射撃する時に引き起こしが重いと思われます。その点でもシュレーゲムジークなら、より深く潜りより浅い角度で上昇射撃できるわけです。


「ブラッカムの爆撃機」は非常によくできたテキストで、この辺の夜間戦闘が実によく描写されています。文中から少し引用します。

ふたつのうちの小さい方の影が、角度を変えてブラッカム機めがけて上昇していった。まるで深い雲の海から浮き上がってくる不気味なサメのようだった・・・(中略)・・コクピットの後方には斜め上向きにすえつけられたふたつの機銃の銃口が見える。ユンカースはウィンピーのやわらかい下っ腹にぐんぐん近づいていった。」(本文から引用)

おもしろいことにウエストールは上昇しつつ射撃体勢を取っていると原文で書いているのに「ブラッカムの爆撃機」の宮崎さんのイラストでは同航して射撃しようとしています。これは日本の方法と混同していると思われます。

日本の場合はB17のようなアメリカ製の防御が堅くて高速な機体を追尾しつつ距離をとって射撃するということを意識して同航射撃を意図しているわけです。そのためには浅い角度で取り付けられているほうが望ましいと思われます。
英軍機はあきらかに後下方が甘いので、接近して死角から攻撃するほうが有利です。また70度という角度は英軍爆撃機の持っている後方監視レーダーの範囲外にもなります。

つまり、
シュレーゲムジークは(軽武装の英軍機を)上昇しながら近接して射撃する、そのため60度という深い角度になっている
日本の斜銃の場合は(重武装の米軍機を)同航しながら距離をおいて射撃する、そのため30度という浅い角度になっている


ということがいえると思います。
もうひとつ言えることは斜め銃は日本には始めは下向きもあったということです。下向きは後になくなりますが、言い方を変えると使い方が定まってなく小園少佐が考えたアイディア兵器であったため試行錯誤して決めていったと考えられます。
一方でドイツは始めから60-70度の上向きしかなく使い方が明確に定まっていたと思われます。

日本の斜め銃はアイデアから生まれ、ドイツのシュレーゲムジークは必然から生まれた、と言ってもいいかもしれません。
posted by Y.Sasaki at 00:03| Comment(2) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月14日

ブラッカムの爆撃機

「ブラッカムの爆撃機」はイギリスの作家ウエストールによって書かれたもので、第二次大戦中の夜間爆撃を英軍の搭乗員の視点から書いています。原題は「ブラッカムのウィンピー」といいますが、ウィンピーはすでに旧式化しつつあったウェリントンの愛称です。

アマゾンのリンク

舞台は第二次大戦のイギリスで、主人公はウエリントン爆撃機の無線手です。物語は彼とクルーが体験する奇怪な出来事ですが、キーになるのはミッション中の爆撃機のクルーはヘッドセットごしのインターカムの音しか聞こえないという舞台設定です。この独特の世界をリアルに描写するため、かなり細かなミッションの書き込みがされています。

もともとは子供向けということですが、ウエストールの原文は当時の戦術に緻密に基づいて書かれているところが特徴です。
たとえば爆撃機が編隊を組んでいないことや、ドイツの夜戦を発見したときに行なう回避行動、また上昇しながらJu88が現れるところとか両軍のドクトリンにかなり忠実です。
たとえば昼間のB-17などは攻撃されてもボックスフォーメーションを崩さないほうがよかったわけですが、夜間の英軍機はもともと編隊を組んでいないので夜戦を見つけたら反撃するよりもまず回避機動を行なったようです。逆に言うとそのためにJu88のような本来爆撃機を転用するよりもHe219のような戦闘機が必要とされたわけです。
またドイツ軍の攻撃パターンはいったん英軍機の下に占位してから上昇しつつ射撃をするというものです。

日本では昨年あたりにこれに感銘を受けた宮崎駿さんのイラストと紹介がついて再発されています。わたしも思わずこれに惹かれて買ってしまいました。

このテーマに興味あるひとにはかなりお勧めといえます。
posted by Y.Sasaki at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ○ 図書・映画など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tally Ho !

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