2007年04月25日

Defending the Reich、ファーストインプレ

Defending the Reichを買おうと思ったのはテーマ的な興味もさることながら、ゲームプレイとインターフェースの出来が良いというレビューを見たのがきっかけです。ゲームシステムだけ見ると一回のRaidを何回も繰り返すキャンペーン的なシステムになっているので時間がかかるように思えますが、実際にやってみるとたしかにプレイアビリティが高く、繰り返して手軽にキャンペーンを行なうことができます。
また一回のRaid(一ターン)ごとにわりと完結しているのでsaveをしていけば適度なペースでキャンペーンとしてゲームを進めていくことができます。最近はまとめてゲームをする時間が取れなかったので、こうしたマイペースでできるゲームは助かります。

さきに書いたようにこのゲームは非対称のシステムを採用しているのでドイツ側と英軍ではプレイはまったく異なります。
はじめはドイツ側をやって、英軍がどういう攻撃パターンをつかうか勉強するという方針でドイツ側をやりました。

順番的には一番初めに前のターンのレビューをします。
損害の判定の基準ですが、実戦を手本にすると一戦闘での英軍の損失が5%前後だと大きい方といわれます。
史実では英軍のウインドウ投入後は1.5%に下がった損失率が、対策後はまたあがり7%や11%もの場合がありました。
ゲームノートではRAFはターン毎に約40機増えるので、それを目安に50機以上の損害を与えるべきとしています。ただこれはかなりきびしいと思います。

天候の影響も大きいので天気予報のレビューも重要です。ただしForecastはあくまで予報であって、実際の天気ははじめのログを確認することが必要です。
大きいのは月齢で照度が左右されるので迎撃できるかが決まります。また着陸の難易度が決まります。これはかなり重要です。
DTRでは全域で一律の天気ですが、史実では天気予報で襲来地域を予想していたりするので、天候は地域ごとにあったほうがよいと思います。

下記はキャンペーン終了後のステータスです。
途中で英軍に押されてしまいますが、こつが分かってきて後半に盛り返してきてなんとかドローに持ち込んだというところです。
オプションはすべてヒストリカルで行っていますが、部隊の異なった機種編成はヒストリカルでないほう(ひとつの基地は全て同じ機種)が運用は楽です。
また月齢の満月に近いときが英軍の損失があがるというところに注目してください。
dtr4.jpg


R&Dフェーズではどの分野に投資するかを決定します。2分野までの制限がありますが、実際にHe219の効果は高いのですが、まず地上レーダーで早期に探知することがリアクション時間が長く取れて損害を与えられるので地上レーダーは必須です。またドクトリン(迎撃戦術)と機上レーダーは同じくらい重要なのでどちらかに割り振ります。
どちらかというとドクトリンが上かも知れません。

管理フェーズでは消耗が多くて使わないことに決めたユニットはTrainingかRestにしておきます。これはプレイアビリティの上で重要です。特に英軍では重要で、はじめは英軍のスコードロンの数が多いのでこれをすべて指示するかと思うとげっそりとしますが、結局のところ管理フェーズで使わないと決めた部隊以外はすべて使うので、考えるのはそれほど大変ではありません。

実行フェーズではリアルタイムで進行して、英軍の空襲部隊を探知すると盤上に未確認ユニットとして現れます。
だいたい4波くらいで、そのうちのひとつはMain Forceで数百機の重爆撃機です。他はおとりでモスキートを使います。
ただMain Forceにもモスキートを随伴させていることがあるのでモスキートがいたからといってメインフォースでないとは言えませんし、ゲームが進むとボーファイターの様な夜戦も随伴してきます。
DTRの肝はどれがメインフォースか、を見極めるということです。これは立場を逆にして英軍で言うと、どれがメインフォースか見極められないようにする、ということが重要な訳です。
メインフォースは1ターンにひとつしか使えないので、どれがメインフォースか分かったらあとは総攻撃になります。

だいたい(ベルリンを含む)東部か、西部(ルール)に大きく攻勢の志向がわかれるので、部隊の半分は休むことができます。
こちらの最強部隊はルール前面のVernoのNJG1でHe219と有名なヴェルナーシュトライプの率いる精鋭のエースたちを多数含みます。
下記のようにウーフーの重武装タイプのHe219A-7が配備されています。
dtr3.jpg


考えねばならないのはいったん出撃したら交戦がなくともかならず損害をこうむるということです。つまり着陸時に喪失があります。とくにヴィルデ・ザウは昼間戦闘機なのでいったん離陸したら必ずかなり損失を受けます。
これは天気で大きく左右されますが、かといって天気が悪いから爆撃効率も悪いだろうとまったく迎撃しないと判定はRAFの有利になるようです。

ゲームの前半はこちらのペースでいけますが、後半になるとかなり英軍の電波妨害能力が高くなってきて、内陸に入ってからでないと探知されないことが多くなります。
そうすると対応が遅れて結局損害を与えられません。

また、長期的にはなるべくローテーションを考えて休ませたり、trainingにいれたりしておいたほうがよいでしょう。

実際やって見て思ったのは、ヴィルデ・ザウが使いづらいということです。途上で迎撃できないので、ピンポイントで目標を読まねばならない。また双発夜戦に比べて着陸の損害が大きいので一回使った後の損害回復が必要です。

下記の図はヴィルデ・ザウの待機場所(黄色円)を外してしまったところです。メインフォースは予想進路の直前で航路変更してしまいました。これは英軍は途中では変えられないのでフェイクをあらかじめ入れていた、ということです。
dtr2.jpg

ほぼベルリンとか単独に近い主要目標や、ルール地方とか目標が密集していると(ある程度はZOCのような対応範囲はある)読みやすいのでテンペルホフなどに駐機しておくことになります。

しかし夜間戦闘関係の戦史を読んでいるとウインドウ(チャフ)の投入後の後半はかなりヴィルデ・ザウが活躍したようにかかれますが、こうしてやってみるとヴィルデ・ザウは数は少ないし、運用も制限があるのでやはり従来夜戦が主力ということが分かります。
そうしてみると実際に議論された、昼戦を流用すれば夜戦のような特殊な兵科は不要じゃないかという理屈にはいたらないことになりますね。
こうして戦記のように断片的ではなく包括的に戦いの様相を眺められるというのがシミュレーションゲームの良いところだと思います。
posted by Y.Sasaki at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月04日

夜空の戦いとDefending the Reich

ヨーロッパの空の戦いというと空を埋め尽くすB-17とそれを迎撃するメッサーやフォッケといった絵が思い浮かびます。
B-17を戦力の中核とするUSAAFはその強力な防御放火を生かすためタイトなボックスフォーメーションを組んで昼間の精密爆撃を志向していました。
しかし、英空軍は昼間での大きな損害を避けて早々と夜間の爆撃に切り替えました。そして帝国の夜の防空を担ったのは双発の夜間戦闘機でした。

互いに相手が見えない漆黒の闇の中で彼らは電子の目を使って戦いました。
一見地味に見えるWWIIの夜間戦闘ですが、現代ではかかせない電子戦はこのWWIIの夜間爆撃の邀撃戦闘から始まったといえる点で重要です。
また、ゲームとしても読みとだましあいといった要素があって面白いといえます。

Lancaster.png
Me110_SM.png

HPSの昨年の作品であるDefending the Reichはこうした第三帝国上空の夜間戦闘を扱っている作戦レベルのコンピューターゲームです。Decisive Actionのランスフォード大尉のデザインになります。実際にイベントログなどDecisive Actionと似たシステムも見られます。
ターンは一週間で1943年8月から1944年6月まで行ないます。なぜ1944年6月で終わるかというと、この月はノルマンディー上陸作戦が行なわれた月で、この後はRAFが地上支援に忙しくなったということと、地上からレーダー施設が破壊されていくのでほぼ夜間の戦いは決着がついたといえます。またはじまりが、1943年8月というのはウインドウ(チャフ)の投入によるハンブルグ爆撃が1943年7月なのでそれ以後ということになると思います。レーダーを妨害するウインドウの投入が大きく夜戦を変えたので(ウインドウ自体はルール化されていませんが、ECMに統一されています)それが境になっているわけです。
ちなみに宮崎駿のイラストでも知られる「ブラッカムの爆撃機」は1943年の前半と思われますので、残念ながらこのゲームではウィンピーはあまり活躍の場がありません。

ゲームは一週間1ターンとして、1ターンに立案フェーズと実行フェーズが行なわれます。また管理フェーズで兵站を実行します。おもしろいのはRAFとルフトヴァッフェのプレーヤーが非対称になっていることです。
RAFプレーヤーは立案フェーズに詳細に空襲計画を作成しますが、実行フェーズにはやることがありません。見ているだけです(ミッションの中止もできません)。
ルフトヴァッフェプレーヤーは立案フェーズにはやることがありませんが、実行フェーズにはセミリアルタイムで進む戦況に応じて指揮下のユニットを迎撃命令を随時下します。

ルフトヴァッフェプレーヤーはRAF空襲部隊が見つかれば迎撃しますが、システムはブラインドであってなかなか見つかりません。夜だからです。
ウォーゲーマーが陥り安い錯誤のひとつは自分が神の目を持っているために指揮官や兵士の視点になかなかたてないということです。たとえば高級指揮レベルではC3Iの問題から、戦術的には戦車からの視界などもよく例に挙げられます。
この夜間航空戦の世界も例外ではありません。

rader.jpg

夜間はまったく爆撃機が視認できなくなるので、レーダーに頼ることになります。作戦レベルで指揮官が部隊を指示するのもレーダーですし、パイロットが敵爆撃機を見つけるのも基本的には機上レーダーです。
ドイツはカムフーバーラインと呼ばれたレーダー防空網を整備してRAFの空襲に備えましたが、全般的に電子戦技術はイギリスのほうが一レベル以上常に上回っていました。

初期の夜間戦闘は探照灯による照射が主でしたが、レーダーが整備されると地上レーダーによる誘導がはじまります。大体の位置まで誘導されると夜戦のレーダー手は機上レーダーで敵機を探します("エーミール・エーミール"とコールする)。照度にもよりますが、最終的に数百メーター程度に近づくとパイロットが視認可能になり攻撃開始します("パウケ・パウケ"とコールする)。
ただしこのころの地上レーダーは問題が多く、特に誘導する際にひとつのレーダーで敵一機、友軍一機しか把握できないというのが問題でした。これに対して英軍はストリームとよばれる戦術をとります。
それはいずれにせよ夜間はフォーメーションが組めないので、単機ずつ長いストリームになって進入します。そのため全体の規模がわかりにくく誘導しにくいことになります。このストリーム(爆撃機の存在範囲)は横20マイルで長さは150マイルにも及ぶといいます。このため英軍の空襲部隊はボマーストリームとも呼ばれます。

こうして1943年前半までにお互いの邀撃戦術・侵攻戦術は一度完成するのですが、英軍が捕獲したドイツ夜戦を調査して1943年7月のハンブルグ爆撃でウインドウと呼ばれる電波妨害片(いわゆるチャフ)を実用化させたため、一時期ドイツの防空は混乱します。ウインドウで主に影響をこうむったのは機上レーダーです。そしてその直後に対抗策として出てきたのが、ヴィルデ・ザウ(突進するイノシシ)と呼ばれる戦術です。
これはそれまで主力だったレーダー装備の双発戦闘機ではなく、普通のMe109やFW190を夜間に使うという方法です。これはどうするかというと、戦域指揮官がルートから攻撃目標を読んで昼間戦闘機をその目標上空に待機させます。すると目標は燃え上がる地上の炎で明るくなり、上空からだと敵機が浮かび上がります。それに近接して攻撃をかけます。普通の昼間戦闘より近接したので突進するイノシシというあだ名がつきました。ヴィルデ・ザウはDefending the Reichでは特別なユニットとして扱われ運用には注意が必要です。
なお、このときいままでより詳細に邀撃指示をしたので、邀撃指示方法はより進化しました。それをようやくウインドウに対抗できるようになったレーダー装備の双発戦闘機にも適用したのをツァーメ・ザウ(訓練されたイノシシ)といいます。ただし基本はいままでと同じなのでDefending the Reichではドクトリンの向上としてR&Dで抽象化されています。ツァーメ・ザウのルールはありません。
(その後もECMとECCMのいたちごっこは続き、Defending the ReichではR&Dルールであらわされます)

こうしてDefending the Reichの開始ターンである1943年8月がはじまります。
posted by Y.Sasaki at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Defending the Reich | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tally Ho !

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