2007年03月07日

Decisive Actionの作戦プランニング

Decisive Actionの作戦プランニングにおいて、まずシナリオを選択します。まず例としてトレーニングセンターシナリオのNo.2(NTC2)を選択します。これはわりと小規模な攻勢作戦のシナリオです。

dif_ntc2a.jpg

面白いのはこのマップは実際のロスアンゼルス北のマップで、フォートアーウィンを中心としたアメリカの演習地域を表しています。
左手にバーストウ(Barstow)、右にベイカー(Baker)という町が見えていますが、ここは実在のロス北方の町でわたしもアメリカにいたときに行ったことがあります。(Barstowには大きなアウトレットモールがあります)
このように演習地域のシナリオがあるというのもこうしたプロフェッショナルゲームならではです。

その後で戦況確認、作戦目的と彼我の兵力を確認します。自軍であればオーダーオブバトルをチェックし、敵軍(REDFOR)であれば推定戦力が提示されます。
この辺は普通のウォーゲームと同じです。ちなみにこれらを軍事用語ではミッション分析、略してMETT-T(Mission, Enemy, Terrain, Troop, Time available)と呼びます。
http://www.globalsecurity.org/military/library/report/call/call_jrtcttp_missanal.htm

METT-Tを確認したらプランニングをしますが、ここでこのゲームの特徴であるグラフィックを使います。
まずNAI(Named area of Interest)を配置します。Named area of Interestは作戦において情報収集の上で注目している地域でDecisive Actionでは情報収集に影響します。一方でTAI(Target area of Interest)はDecisive Actionにおいてはユニットの戦闘遂行力をあげます。どちらもシナリオで指定される数に限りがあります。

dif_ntc2b.jpg

次に攻勢軸を考えたらラインを引いて自分の部隊を分割して担当を割り当てます。
ここではラインを緑で引きました。上半分の戦区は3個戦車大隊(11)と3個機械化大隊(92/94)で抵抗の予想される飛行場区域の制圧を図り、下半分の戦区は1個戦車大隊(73-1)と2個機械化大隊(94-1/2)を中心にしたタスクフォースで目的地のポイントNorfolkを目指します。

そしてUAV(無人機:Unmanned Aerial Vehicle)の索敵線を考えます。UAVはプレデターのような無人偵察機で、もはや現代戦にはかかせません。航空偵察にはUAVとAirCAV(ヘリ)が使えますが、ヘリは前線を担当して機会があれば反撃を行います。UAVはいったん敵の奥深く入ってからジグザグパターンで自軍側に戻すというパターンを描きます。下半分の戦区にUAVの索敵パターンを描いています。

dif_ntc2c.jpg

またNAIマーカーも1ターン後に一種の偵察マーカーとして使えます。
下記のサイトの図を見てもらうとわかりますが、J-STARSやUAVでは敵の深いエリアをNAIに着目して索敵します。
このようにNAIはJ-STARS(Joint STARS)や衛星などの情報収集も抽象的に示していると思います。

http://www.globalsecurity.org/military/library/report/call/call_00-4_p38.htm

ジグザグパターンで索敵線を描くという感覚はちょっと空母戦での索敵機に似ています。
TacOpsのところでも書きましたが、このように実際の軍事行動ではまず敵の位置をつかむ、というFog of Warが根底にあります。
ボードウォーゲームではおろそかにされていたところですが、実は実際の作戦遂行においてはこれだけ重要なものだということですね。

プランニングはこのあとに支援ユニットの砲撃計画・航空支援計画・兵站計画とまだまだ続きます。


ちなみに第一ターンを実行して、上記の偵察行動により敵の位置が少し判明したのが下の図です。

dif_ntc2d.jpg

右下の円のところでUAV一機が敵の対空射撃で撃墜されています。
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2007年03月05日

Decisive Actionのサプリメント

Decisive Actionは普通のゲームと概念がやや異なっているのでサプリメントがあると便利です。

まずさきに述べたようにFM 101-5の用語集が有用です(ゲームにも略語集は入っています)。たとえば"NAI: Named area of Interest"という言葉が説明なしに出てきますが、おそらく熟練ゲーマーでもピンと来る人は少ないでしょう。またMOPP-4の意味がわからないと生き残れません。

またユーザーが作成したマップ・シナリオ・サプリメントなどがこちらからダウンロードできます(登録が必要です)。

http://www.xtreme-gamer.com/forums/downloads.php?do=cat&id=17

必要なものはTurn Check listとTactics,Techniques& ProcedureとOperation Planningが役に立ちますのでダウンロードをお勧めします。これが実質的にこのゲームのチュートリアルになります(ゲームにはチュートリアルはありません)。
また上記サイトで世界各地のさまざまな地図がDecisive Action形式で入っていてシナリオが作れるようになっています。
DecisiveActionはやや古いゲームですのでこうしたコミュニティの作ったものが活用できます。
posted by Y.Sasaki at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Decisive Action | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月03日

米陸軍の野戦教範(Field Manual)

ふつうのウォーゲームならば参考図書としては「彼らは来た」とか「失われた勝利」などを読むことになると思います。
それがDecisive ActionやtacOpsのようなプロフェッショナルゲームにおいては米陸軍の野戦教範(Field Manual)ということになります。
野外教範の入手はむずかしくありません。
アメリカのすごいところはこうした文書が公開されていているところです。

http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/

ただ上記は全てではないようで、わたしはTacOpsV4を買うときにバンドルでPDFセットを買いました。これはTacOpsの作者がまとめなおしたものです。


たとえばDecisive ActionにおいてはまずFM 101-5, Operational terms and Graphicsを知っておくことが求められます。おなじみのNATOシンボルなどの「公式」な解説があります。
http://www.globalsecurity.org/military/library/policy/army/fm/101-5-1/f545con.htm#contents

たとえば下のDecisive Actionのプレイ画面の作戦命令図において敵軍を示すのはダイアモンドマークですが、1997年以降は敵軍を示すのはダイアモンドマークになっているそうです。(上記Webに乗っています)

このほかには参考図書としてFM 71-100 (Division Operations)、FM 34-130 (Intelligence Preparation of the Battlefield)、ST 100-40 Tacticsを読むように指定されています。
ただこれを読み通すというのは正直きつい。まあ読まなくともゲームは進められますが、こうしたゲームをするさいにより深い理解が出来るというわけです。

たとえば野戦教範に記載されている項目でよく引用される(された)のは「エアランドバトル」です。
エアランドバトルというと陸空合同攻撃的な一般的な意味にとられがちですが、これは(82年当時の)FM100-5, Operationsにもとずく米軍のドクトリンを示しています。歴史群像(2006/6)とか柘植氏の著作(米陸軍戦闘マニュアル)から少し引用すると、ソ連軍(赤軍)が二段の悌団で攻撃してきた場合に第二悌団も同時に攻撃することで悌団攻撃にギャップを生じさせるというものです。そのギャップに対して反撃を行うわけです。
そして第二悌団を攻撃するためには前線を跳び越すので航空攻撃力を使い、反撃するために機動兵力を使います。(この機動のための部隊編成が有名なDivision86でM1戦車やM2/M3の開発のもとになりました)
そのため航空攻撃兵力が陸上部隊のサポートではなく、独立した編成で陸上兵力と同格に攻撃を担当できるためエアランドバトルと言う名前がつけられたようです。

ただし手持ちのFM 100-5を見るとPrefaceに1993年に冷戦構造の終わりを受けてこの1982年版のFM 100-5は修正されたとあります。
このように野戦教範もまた変わりゆく、ということなのでしょう。
posted by Y.Sasaki at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Decisive Action | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月19日

Decisive Actionとは

Decisive Actionは米陸軍のJim Lunsford大佐がデザインした師団・軍団クラスのシミュレーションです。
ただしさきに述べたように、たとえばバルジでのサンビットをめぐる戦いを再現するといったような「ヒストリカル・シミュレーション」ではなく、あくまで米陸軍のドクトリンに基づいた作戦行動をいかに再現するということに主眼が置かれています。そこで省略とか抽象化の仕方がやや普通のウォーゲームとは異なるものがあります。
もうひとつDecisive Actionを取り付きにくくしているのは使われている用語に関するものや、米陸軍の野戦教範(Field Manual)についての知識が少なからず要求されるところです(なくてもとりあえず進めることはできます)。

その辺はおいおいと触れるとして、とりあえず普通のウォーゲーム的に紹介してみます。
ゲームは下記のマップのように地形図の上で展開していきます。

da1.gif

右側に見えるのが作戦命令でいわば勝利目標です。
特徴的なのは、軍団境界線とフェイズライン(到達目標線)が明示されていることで、TAI/NAI(目標地域名)とあわせて作戦遂行の目印となるこれらはグラフィクスと呼ばれます。

スケールは1ターン2時間で1ユニットは旅団・大隊単位、あるいは特殊ユニットは中隊・小隊となっています。

ターンシークエンスはこれもtacOpsと同様にプロット方式で同時進行になります。また基本はダブルブラインドです。
まず計画フェイズに移動プロットを行い、砲撃・航空支援フェイズの後で同時移動します。
移動フェイズはダブルインパルスどころか300インパルスに分かれていて、その細かい移動分割中で敵に接すると停止します。移動がすべて終わると戦闘フェイズになり同時戦闘が行われます。
その後でロジスティックスフェイズ、増援フェイズ、勝利条件チェックとなり1ターンが終わります。

ユニットにはZOCのような"footprint"という概念があり、黒の円で支配領域が示されます。また赤の円弧で向きが示されます。footprintはサイズ、戦力、ロスで大きさが変わり、モードでも変わります。上の画像ではCAVがセキュア(防御モード)を取っているため3つの円が示されています。広く守れますが、攻撃は出来ません。

footprintが敵ユニットと接すると戦闘になり、友軍と接すると移動が遅くなります(間接的にスタック制限を示しています)。
またユニットにはモラル、疲労、制圧、コマンドコントロールのパラメーターがあります。さらに補給状態もかなりキーになります。

地形はかなり抽象化されていて、地形図の上ということで複雑に思えますが、unrestricted(移動制限なし)、restricted(制限あり)、severely restricted(かなり制限あり)の3つしかありません。これは実際に米軍で使われている区分だそうですが、さらに本当の机上演習では移動に関しての制限はあまり使われないそうです。
ただしこのゲームでは普通のウォーゲームのように移動制限があります。
posted by Y.Sasaki at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | HPS : Decisive Action | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Tally Ho !

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